Japanese Journal of Tropical Medicine and Hygiene
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沖縄への夏季帰省が沖縄より本土に移住したヒトの耐熱性, 耐寒性および局所耐寒性に及ぼす影響について
辻田 純三田中 信雄黛 誠堀 清記
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1978 年 6 巻 1 号 p. 1-8

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抄録
沖縄より日本本土に移住した男子大学生について, 夏季沖縄に帰省する直前と直後に, 暑熱曝露 (10名) および寒冷曝露 (5名) 時の生理的反応と局所寒冷血管反応 (10名) を測定して次の結果を得た。
1) 帰省後は帰省前に比べて暑熱曝露時の汗量が増加し, 汗量当たりの汗の塩分濃度が減少し, 体温の上昇度が低下しており, 帰省中に高温環境に対する馴化がすすみ耐熱性を獲得する傾向がみられた。
2) 寒冷曝露時の生理的反応は, 帰省後は帰省前と比較して, 皮膚温の下降度が低く, 代謝量の増加と “ふるえ” の頻度が多く, 代謝量の増加度と皮膚温の下降度の比が増加しており, 全身の耐熱能力は減弱していた。
3) 指の局所寒冷血管反応は, 帰省後は帰省前と比べて, 血管反応の発現が著しく遅延し, 抗凍傷指数が減少して凍傷に対する抵抗性が減弱していた。
4) 日本本土より沖縄に夏季に帰省すると, 耐熱性はわずかに増加するが, 全身耐寒性および局所耐寒性はかなり減弱することが示された。
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