Japanese Journal of Tropical Medicine and Hygiene
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九州産ヤマブユ亜属の1新種
高岡 宏行
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1978 年 6 巻 1 号 p. 9-14

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抄録
1977年9月, 熊本県菊池郡七城, および泗水において平野部を流れる菊池, 合志両河川の水中に繁茂するえびもの葉, 茎よりヤマブユ亜属の幼虫, 蛹を多数得た。蛹より羽化させた成虫を含め全発育期について検討を行った結果, 本種はRubzov (1959-1964) の定義したsubvariegatumグループに属し, 本邦産のSimulium (Gmus) macojapi Smartおよびソ連邦のS. (G.) subvariegatum Rubzov, S (G.) jacticum Rubzovに極めて類似した形質を有する。しかしながら幼虫の頭蓋板のcleftがhypostomiumの後縁まで達することによりこれら既知種と区別される。さらに成虫雌では, 腹部第7節腹面上の剛毛が枝分かれしないことによりS. (G.) macojapiと, また胸部楯板上の微毛が黄色であることによりS. (G.) jacticumとわずかに差が認められる。以上の結果から, 本未記録種にS. (G) kyuskuense (和名 : キュウシュウヤマブユ) の新種名を提唱し, 全発育期の記載を行った。
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© 日本熱帯医学会
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