2019 年 29 巻 1 号 p. 17-22
転倒予防のために,下肢筋力低下,バランス力低下,歩行困難の程度について評価されてきたが,足趾の巧緻動作についての関連性は未だ不明である。我々は簡便な方法として足趾の巧緻性を評価するための「足趾10秒テスト」を考案し,足趾挟力および足趾筋力との関連性について検討した。A病院入院患者70名を対象とした結果,足趾10秒テストは平均右7.8±4.1回,左8.0±3.7回,足趾挟力は右2.5±2.0kgf,左2.1±1.6kgf,足趾筋力の平均は長母趾伸筋の右が4.0±1.4,左は4.1±1.1,長母趾屈筋は右3.9±1.3,左は4.1±1.0であった。また足趾10秒テストと足趾挟力,足趾筋力には相関性が認められた。足趾10秒テストは筋力と巧緻動作を反映していることから,疾病や障害を持つ患者に対して有用な評価方法であると考えられた。