抄録
2015年4月から2018年3月まで3年間の患者動態の調査研究を行った。外来予約キャンセル率と医療経済上,医師が直接寄与する高額の検査のキャンセル率について検討を行った。外来予約キャンセル率は平均4.6%であり,曜日別には月曜日が若干高かった。また,検査には患者側の検査前処置等が必要であるPET,上部内視鏡,下部内視鏡,気管支鏡,造影CTを対象として検査中止率を調査した。それぞれ1.0%,3.7%,3.7%,2.3%,2.1%であった。また,診療報酬点数表のD,Eコードから算出した損失額は3年間で1435万円であった。これらの中には,検査前注意が守られていれば検査可能な症例もあり,患者本人,医師をはじめとする病院スタッフ,病院経営の3者全ておいて経済的,時間的損失が発生する。外来キャンセル及び検査中止率を低下させる一つの解決策として,人手による連絡,あるいは共同実験として行った携帯情報端末の活用がある。損失額の年間400万円強を考慮すれば医療の質の向上,収益の向上に繋がると考えられる。