抄録
平成27年に50人以上の事業場でストレスチェックが義務化された。また政府主導で進められている働き方改革の柱の1つは過重労働対策である。本研究では富山県内事業場の①ストレスチェック実施状況,②メンタルヘルス不調者の発生状況,③長時間労働の実態を明らかにし,さらに②と③の関連性を検討することを目的とした。県内の1,338事業場を対象とした記名式アンケート調査の回答結果を規模および業種別に集計して比較検討し,さらに多変量解析により上記の関連を検討した。解析の対象は350社(回収率26.2%)となった。ストレスチェック,集団分析の実施率は高かったが,高ストレス者の医師面接希望は低調であった。過去3年間に44%の事業場で不調者が発生していた。約2割の事業場で時間外・休日労働時間が月100時間または2~6ヵ月平均で80時間を超える労働者がおり,これらの事業場では不調者の発生が有意に多かった。