2023 年 31 巻 p. 49-58
本研究では、コロナ禍(2020年度)における小学校の運動会の中止や縮小が次年度(2021年度)の社会参画意識の低さを予測するか検討を行った。小学3-6年生とその保護者を対象にオンライン調査を行った結果、2020年度に運動会で児童の主体性が損なわれていた学校ほど、児童が運動会で役割発揮をしにくく、次年度の社会参画意識が低い傾向にあることがわかった。ただし、コロナ前に運動会に力を入れていた学校の児童ほど、2021年度の社会参画意識が高い傾向にあり、その関連は家庭背景や運動会の縮小状況を考慮しても、なお見られた。ここから、コロナ前の児童の運動会体験の蓄積が、運動会縮小のもたらす負の影響のバッファーとなっている可能性も示唆された。