抄録
言語の超分節的側面は言語認知にとって、重要な役割を果していると考えられる。この研究では、1.聞きやすさに対して心理的な尺度があるかどうか、2.心理的な尺度はどのような超分節的側面で客観的に表わされうるか、3.音韻が伝える意味の分節と、超分節的側面は対応するかどうかを求めることによって、聴覚、言語障害児に与える言語刺戟のなかに超分節的側面を含める必要があるかどうかを考察することを目的とした。読みのうまさの異なる8人の読み手の10分間の音読を、聞き手に聞きやすさについて一対比較で判断させ、音群、休止、基本周波数の分析、および句構造と休止の関係を測定した。その結果、心理的な聞きやすさと超分節的な側面との対応は高く(rs=.95)また、超分節的側面は意味の符号化を容易にしていると考えられた。よって、超分節的側面を考慮に入れた言語刺戟の与え方をする必要があると考え得た。