ことばの教室は吃音のある小学生の支援の場だが、そこでの臨床報告は少ない。そこで、本稿ではことばの教室に通級する小学校1年の吃音児1例に対して実施した流暢性形成法とDCMに基づくアプローチ(DCM)を併用した指導の結果を報告した。対象児は小学校1年生の吃音児1名であった。発話速度の低下と軟起声、軽い構音接触を中心とした流暢性形成法と、話し相手が要求水準を下げた関わりを行うDCMを中心に行った。その結果、吃音頻度は100文節中73から10へ、平均吃音生起時間は2,078ミリ秒から788ミリ秒と減少した。家庭での吃音重症度評定は5から3へと低下した。CAT得点は18から8へと低下した。以上のことから、流暢性形成法とDCMの併用は発話の流暢性の改善に有効であり、コミュニケーション態度の向上にも繋がったと考えられた。流暢性形成法とDCMの併用は今後のことばの教室の指導の選択肢の一つになると思われた。
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