初期言語によるコミュニケーション行動を評価する手段としてAustinの言語行為理論を基に有効意味モデルを設定し、その適用可能性を探った。モデルは文脈、場面の2要因から成り、発話と両要因との整合性によってコミュニケーションの評価をするものである。一語発話期の幼児3名を3〜6ヶ月間観察し、発話資料を得た。そして発話をモデルに従い6型に分類し、各型の出現率の大きさ及び年齢に伴う出現率の変化を求めた。その結果各児ともコミュニケーションに最も有効な発話の出現率が最大であり、かつ出現率の大きさが年齢、対象児間できわめて安定していた。したがってこのモデルに基づく発話の分類型をコミュニケーション行動評価の際の指標とすることができ、言語発達遅滞、精神遅滞などの指導場面における評価技法としてその有用性が期待できると考えられた。