抄録
点字触読速度の発達について、全国の盲学校児童、生徒572名を対象に、点字触読力検査を実施した。本検査は総合読書能力診断検査(1959)より選択された問題から構成されており、小学校低学年用、小学校高学年用、中学生用の3種類が作成された。検討方法として、単位時間内に回答した問題数と、正解問題数を基準に、点字触読速度、正確度を算出し、その発達傾向を求めることにした。その結果、小学校低学年時期に、点字触読速度が大幅に発達し、それ以後の学年では、発達が次第に緩慢になる傾向がみられた。正確度についても、同様に小学校低学年段階に発達が急速に伸長し、その後はほぼ90%程度の正確さを保持するような結果が得られた。本研究と同一問題、同一手続きによって実施された先行研究(1966)との比較では、各学年ともに有意な差はみられなかったが、小学校低学年段階で一貫した本研究での成績の優位性から、初期の点字指導に改善があったと推測された。