抄録
本研究は、普通学校教師と特殊学校教師の統合教育に対する意識を明らかにすることを目的とした。普通学校は義務教育段階の小学校と中学校を、特殊学校は肢体不自由養護学校教師をそれぞれ調査対象とした。調査方法は質問紙法を用い、統合教育に対する一般的な意識および評価対象(ターゲット;Target)呈示による具体的なイメージ化を通した意識の2部形式により内容を構成した。その結果、1)障害児の統合教育が特殊教育サイドでの関心事に止まっていること。2)小学校教師と中学校教師とでは、年代や障害児との接触経験の有無などにより統合教育の捉え方が異なることが示唆された。3)呈示ターゲットに対する普通学級受け入れに関しては、対象3群において近似した反応傾向が認められた。これは、養護学校教師が普通学校の教育の諸現状を特殊教育の現場と対比させながら現実的に反応した結果、普通学校教師の反応と一致したと考えられる。