自閉症児は話しことばを獲得していても終助詞をあまり用いない。本研究では、各3名の自閉症児と普通児に対して、特定の対人関係的文脈を描いた絵画を提示し、それに対する適切な終助詞「よ」「の」「ね」を伴う文の産出を、模倣と強化の手続きを用いて訓練した。実験計画は、プリテスト、訓練・般化プローブ、ポストテストより成っており、各終助詞に対応する多層ベースラインによった。その結果、自閉症児は21、28、34セッションで、般化プローブ絵画に対する正反応率が3文型ともに達成基準に達した。一方、普通児は3、7、7セッションで疑似達成基準に達した。ポストテストでは各児ともに80〜100%の正反応率を示した。さらに、訓練された終助詞表現が、自閉症児の日常生活場面にも般化したという親からの報告も得られた。このことより、自閉症児は比較的多い試行数にわたって訓練されれぼ、終助詞を伴った文表現の習得が可能であることが示唆された。