特殊教育学研究
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ダウン症幼児に対する共同行為ルーティンによる言語指導 : 「トースト作り」ルーティンでの語彙・構文、コミュニケーション指導
長崎 勤吉村 由紀子土屋 恵美
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1991 年 28 巻 4 号 p. 15-24

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抄録

4歳のダウン症女児に対して指導者ともう一人の5歳ダウン症男児による「トースト作り」の共同行為ルーティンを設定しその場面を利用して語彙、文法、コミュニケーションの指導を行った。その結果、前期で目標とした12の語彙の大部分は習得されたが動詞の習得は名詞に比べ時間を要した。前期で習得された動詞を軸クラスとした4種類の対格+述語動詞の二文節構文はすべて習得された。徐々に子どもがルーティンを主導化したが必要な材料を用意する行為での主導化は困難であった。対象児の不明確な伝達行為をもう一人のダウン症男児が受けとめる形で初期の相互交渉が生起したが、後半では対象児の報告・叙述の比率が高まり相互交渉の頻度が増加した。以上から動詞の習得では特に構造化された場面設定が必要なこと、場面に合った常套的な文の適切な使用から徐々に一般的な文法規則に展開させること、見通しに気付くような指導法の必要性等について検討された。

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© 1991 日本特殊教育学会
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