特殊教育学研究
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自閉的精神発達遅滞児の概念学習 : 大小概念の形成の試みから
谷 晋二
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1992 年 30 巻 1 号 p. 57-64

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抄録

本研究では、「大きい」あるいは「小さい」という音声弁別刺激にしたがって、対応するオモチャを選択し、さらに、訓練で用いられなかったオモチャに対しても正しく反応できるようになることが目標行動とされた。3名の対象児のうち1名は分化強化手続きで訓練刺激に対して正しく反応できるようになり、さらに訓練で用いられなかった刺激に対して正しく反応できるようになった。その他の2名の対象児に対して、修正手続きを加えた訓練を行ったところ2名のうち1名は、音声弁別刺激に対して正しい選択反応を行えるようになり、訓練で用いられなかった刺激に対しても正しく反応できた。残る1名の対象児に対しては、訓練者の音声弁別刺激に対して所定の動作反応をさせた後で、選択反応を行わせた。その結果、訓練で、用いられていない刺激に対しても正しく反応できるようになった。これらの結果に関して、概念形成の準備性、音声刺激の機能化の問題、大小概念獲得の基礎スキルについて論じた。

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© 1992 日本特殊教育学会
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