特殊教育学研究
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訓練課題としての自体操作の重要性について : 脳性マヒ児とダウン症児の事例を通しての一考察
谷 浩一
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1993 年 31 巻 1 号 p. 31-37

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抄録

運動障害を有する子どもに対する訓練の目的の一つは、適切な「移動動作」を獲得させることにある。動作訓練では、ある一つの姿勢を保持するための訓練課題を設定し、自体操作能力を向上・獲得させることで、この目的を達成しようとしている。今回、この動作訓練(タテ系動作訓練)の方法により脳性マヒ児1名とダウン症児1名に訓練が実施され、自体操作能力と「移動動作」能力との関連が検討された。訓練の結果から、一つの姿勢を保持するための課題処理が達成されるにつれ「移動動作」能力が向上していくことが認められた。そして、上体、腰、下肢に重力に応じた垂直方向の力が入れられるようになることと、坐位-立位間の垂直方向の「移動動作」能力とが関連していること、バランスとり能力の獲得・向上が床面上での水平方向の「移動動作」能力と関連していることの二点が推察された。

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© 1993 日本特殊教育学会
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