本研究は、自閉症者、知的障害者を対象とし、より効果的な料理スキル指導プログラムの開発と、獲得スキルを般化・維持していくための要因について検討した。実験1では1名の自閉症者を対象に、カードと教示ビデオを用いた指導手続きの効果を検討した。その結果、カードを使用して料理をすることを一品目について訓練することで、未訓練の料理への般化が確認された。また料理行程が複雑なものについては教示ビデオの付加が有効であり、スキルの長期的な維持も確認された。実験2では実験1で検討した指導パッケージを実際の「料理教室」に適用し、指導の効果、家庭での料理行動の自発について検討した。その結果、本研究の料理指導プログラムが、「料理教室」という集団指導場面においても効果的であることが示された。しかしながら参加者の家庭場面の料理行動の自発については一様でなく、参加者の料理行動を維持する環境の随伴性の分析の必要性が示唆された。