1997 年 34 巻 4 号 p. 19-30
本研究は、操作行動、注視行動、実験者への発話から、課題解決行動の発達を明らかにするとともに、丸野(1985)のプランニングシステムのモデル(メタ認知的、操作的、機能的の3水準)に他者要因を導入して修正し、プランニングの発達過程を検討することを目的とした。被験児は2歳〜5歳の健常児と同一精神年齢(MA)の精神遅滞児であり、5条件で5個の入れ子を構成することが求められた。両群とも加齢に伴い、課題条件の変化に応じた方略の選択、注視行動を示した。精神遅滞児は健常児より、MA2・3歳では良好な発達、MA4・5歳では発達の遅れを示し、メタ認知的プランニングの問題が指摘された。プランニング能力は健常3歳から4歳にかけて顕著に発達し、MA2・3・4歳の発達はその間に位置した。実験者へ援助・確認を求める発話が、発達の不十分なプランニングの水準で認められたことから、他者要因を加えた修正モデルの妥当性が検証された。