本研究では2名の発達障害児に遅延強制モデル法を用いて要求行動を形成した。遅延強制モデル法は、子どもが要求事態から離脱しないような要求場面を設定して、子どもの何らかの反応の自発出現を強制するために、モデルを反復し遅延提示する手続きと定義する。その結果、2名とも自発的な要求行動が出現し、設定した要求事態とこの手続きの有効性が示された。また、2名それぞれの子どもがあらかじめ有していた反応が自発出現し、標的行動との機能等価性が示されたが、その出現の変容過程はそれぞれ異なっていた。自発出現した行動は、ある決まった強化刺激のクラスを生み出すように、要求媒介者に対して要求を伝達しようとするクラス内反応と、要求の機能は持つがある決まった強化刺激のクラスは生み出すことがなく、要求媒介者に伝達されないクラス外反応に分かれた。本研究の結果より、機能等価性はクラス内反応に対して促進の効果を、クラス外反応に対して抑制の効果を持つことが示唆された。