特殊教育学研究
Online ISSN : 2186-5132
Print ISSN : 0387-3374
ISSN-L : 0387-3374
発展途上国における子どもの聴覚障害の現状と課題 : 国際協力に求められる視座
古田 弘子吉野 公喜
著者情報
ジャーナル フリー

1998 年 36 巻 2 号 p. 81-88

詳細
抄録

本研究は、発展途上国における子どもの聴覚障害の現状を明らかにし、この問題に対応する上での基本的な視座を示すことを目的とした文献研究である。本研究から、以下のことが明らかになった。(1)発展途上国における子どもの聴覚障害の主要な原因は中耳炎とその後遺症である。(2)コストイフェクティブであることを重視した障害の予防が求められる。特に予防接種はコストイフェクティブである。(3)プライマリ・ヘルスケア活動の中で耳の公衆衛生を確立していく必要がある。(4)補聴器についてはより単純なものにする必要があり、技術者の養成が急務である。(5)耳鼻科医よりもオージオロジカルアシスタントの養成が急がれる。(6)先進諸国とは異なる、適正検査・評価法を開発する必要がある。(7)国際協力を実施する上で地域のニーズを最優先し、「頭脳流出」等発展途上国特有の問題に配慮する必要がある。

著者関連情報
© 1998 日本特殊教育学会
前の記事
feedback
Top