抄録
自立生活センターにおける介助サービスの実施において、利用者と介助者の関係が悪化する原因のひとつに、おのおのの感じるトラブルが異なり(認知されるトラブルのズレ)、互いの気持ちが理解しにくいことが考えられる。本研究は、この点を検証するため、まず、利用者(43名)と介助者(28名)を対象に、サービス実施時に、どのようなトラブルが起きているか、自由記述を求めた。そして、KJ法により、これら記述を整理し、45項目から成るトラブルに関する質問紙を作成した。次に、この質問紙を用いて、利用者(100名)、介助者(112名)に対し、トラブルと感じているか調査した。その結果、約半数の25項目で、両者間の回答傾向に差が認められ、両者に認知されるトラブルが異なることが明らかになった。また、利用者のトラブルの認知は、介助者に比して、他者に、その責任を多く帰属させていることが推察された。