特殊教育学研究
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乳幼児期に自閉症が疑われた男児に対する早期療育とその効果 : フリー・オペラント技法を用いた指導の検討
高橋 正泰大野 博之
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2005 年 42 巻 5 号 p. 329-340

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抄録

発達の早期から他者に対する自発的なかかわり行動が乏しく、目線が合わないなどの特徴を有し、自閉症が疑われた男児に対して早期介入を行った。本事例においては、フリー・オペラント技法を適用し、自発的に他者へ働きかける行動の形成を目指した。従来の技法に、構造化および強化遅延手続きを加えることによって、自発的なかかわり行動の頻度は増加し、セッション中に他者と相互交渉をもって過ごす時間が長くなった。また、自発的な働きかけ行動の質に関しても分析を行った結果、セッション開始時には物や物に関連する行為の要求がほとんどであったが、セッションの進行にしたがって、他者との身体接触や身体接触を通した遊びの要求へと変化していった。また、このような自発的なかかわり行動の増加に伴い、自閉的な特徴に関しても変化がみられた。これらの結果から、フリー・オペラント技法を用いた早期介入の効果、自閉症的特徴の変化に影響を及ぼす要因について検討を加えた。

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© 2005 日本特殊教育学会
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