抄録
本研究の目的は、盲ろう児一事例とのかかわり合いの中で生じた「共同的活動」場面を取り上げ、その「共同的活動」が互いの間で維持され、そして展開していくためのかかわり手のあり方について検討することである。また、「共同的活動」の展開過程においてみられたかかわり手と対象児との「触れ合い」の質的変化をもとにして、触覚的共同注意の操作的定義の作成を試みることである。「共同的活動」を目的としたかかわり合いを記録したビデオ映像記録の中からは、36のエピソードを抽出することができた。それらのエピソードを「触れ合い」の質的異なりによって分類した結果、4つの異なる型の共同注意行動が見いだされた。さらに、それらを発生順序でみていくと、「支持受容型共同注意」「追跡型共同注意」「誘導型共同注意」「意図共有型共同注意」であった。