特殊教育学研究
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小集団指導における知的障害児童の課題遂行を高める先行条件の検討 : 物理的環境と係活動の設定を中心に
村中 智彦小沼 順子藤原 義博
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2009 年 46 巻 5 号 p. 299-310

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抄録

本研究では、知的障害養護学校における小集団指導の授業改善を通じて、教室内の物理的環境設定が児童の課題遂行と逸脱行動に及ぼす効果、係設定の条件と指導手順について検討した。知的障害養護学校小学部6学年に在籍する児童5名を対象に、約9か月にわたって朝の会の授業改善を行った。おもな改善として、児童の机の設定や氏名カードの手がかり教材の配置を変更した。物理的環境設定を整えたうえで児童が遂行する係を順次導入した。その結果、小集団指導において物理的環境設定を改善することで児童の課題遂行は高まり逸脱行動は低減すること、物理的環境設定に基づく係の設定によって児童相互のやりとりを含む課題遂行機会が増加することが示唆された。また、児童が係を遂行できる条件として、指導者と児童とのやりとりで課題遂行できていた手がかり教材をそのまま使用する手続きが重要であることを示唆した。

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© 2009 日本特殊教育学会
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