抄録
自傷行動を示す重度の知的障害のある男児に対して、専門機関における月1回のコンサルテーションのもと、母親が家庭場面において介入を行った。その際、保護者が主体的に支援方法や解決方法を試行し、実践していくことを目標とした。介入は母親の実行可能性が高い場面から開始し、記録の内容や方法により、母親の気づきを促しやすいプログラムを設定した。コンサルテーションだけでは改善が困難な場合には、母親が対象児にかかわる場面において、対応方法のフィードバックを行った。その結果、母親がラベリングした「感覚遊び」「指示」「要求」「笑いながら」「急に」の5つの全場面において、自傷行動は減少した。家族を家庭場面における行動問題への主体的支援者とするため、専門家が月1回のコンサルテーションを行うことで示された効果について考察を行った。