特殊教育学研究
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発達に障害がある児童・生徒における地域・家庭生活スキルの日常生活への自発的開始・般化の検討 : 保護者による記録に基づいた保護者支援による介入
神山 努野呂 文行
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2010 年 48 巻 2 号 p. 85-96

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抄録

本研究では、発達に障害がある児童・生徒2名に地域・家庭生活スキルを指導した。そして、指導したスキルの日常での自発的開始・般化のために、保護者に対して日常での標的行動の記録依頼や、指導した補助具の使用方法の説明を行った。その結果、保護者が対象児童・生徒に対して、日常での標的行動の実行機会を継続的に提供するようになり、対象生徒の買い物スキルでは自発的開始・般化が示された。対象児童の料理スキルでは、記録結果から付加的な支援手続きを立案することが必要となった。以上のことから、地域・家庭生活スキルの自発的開始・般化に対する、保護者への記録依頼に基づいた保護者支援の有効性が示された。また、社会的妥当性の評定結果から、標的行動の選定や日常場面での記録実施に対して保護者が肯定的な評価をしていたことや、今後の課題として、家庭で実施する支援手続きの修正や学習にかかる保護者の負担軽減などの検討が指摘された。

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© 2010 日本特殊教育学会
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