特殊教育学研究
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原著
「自閉症は方言を話さない」との印象は普遍的現象か ―教員による自閉症スペクトラム障害児・者の方言使用評定から―
松本 敏治崎原 秀樹菊地 一文佐藤 和之
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2014 年 52 巻 4 号 p. 263-274

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抄録

 本研究では、自閉症スペクトラム児(ASD)・知的障害児(ID)・定型発達児(TD)の方言使用について、国立特別支援総合研究所の研修受講者、および近畿・四国・九州の特別支援教育関係教員を対象にアンケート調査を実施した。さらに、高知市内の特別支援学校(知的障害)の教員に、担当する個別の児童生徒の土佐弁語彙と、対応する共通語語彙の使用程度の評定を求めた。また、調査1の回答者に対してASD・ID・TDへの自身の方言使用程度についてアンケート調査を行った。結果は、1)すべての調査地域でASDの方言使用はID・TDにくらべ少ないと評定された。2)高知においてASDの方言語彙使用は非ASDに比べ顕著に少なかった。3)教師による方言は私的な場面でのTDへの話しかけで多用され、学校場面でのASDおよびIDへの話しかけにおいては減少していた。これらの結果について、方言の社会的機能の側面から考察を加えた。

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© 2014 日本特殊教育学会
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