抄録
本研究は、応用行動分析学に基づく行動問題を示す発達障害児の保護者と学校の協働を促すアプローチについて現状を概観し、今後の学校との協働を通した保護者支援のあり方を検討した。コンジョイント行動コンサルテーション、積極的行動支援による実践は、行動問題の軽減に限らず、保護者と学校の肯定的な関係を築くことで家庭と学校の両場面で適切な行動を促してきた。保護者や教師のそれぞれの個別性を認め、強さ、資源に焦点を当てること、両者が問題解決を図るためのスキルや知識を増やすこと、両者の介入に対する主体性を上げることが重要であった。今後の課題として、生活の質の改善を含めた家族自体の変容の評価、コミュニケーションの分析を含めた保護者と学校の関係に及ぼす効果の検討を挙げた。さらに、わが国における学校に応じた行動随伴性の整備の必要性を指摘し、保護者自身への支援と併せて協働を促す阻害要因を解消するための方略を強調した。