特殊教育学研究
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円柱さし課題における手指の操作性に及ぼす重さ要因の効果 ―盲児の固有覚フィードバックの視点から―
福田 奏子佐島 毅
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2015 年 53 巻 4 号 p. 233-240

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抄録
盲児の概念形成を促すためには、触運動感覚を通して、比較や分類、弁別などが可能で、かつ、それを通して知覚しやすい教材および環境が必要である。本研究では、教材による固有覚フィードバックが重要であるという仮説に基づき、教材の重さ要因が課題学習における手指の操作性に及ぼす効果について、実験的に検証することを目的とした。対象は盲児12名、晴眼幼児9名であり、円柱の重さの条件を変えた円柱さし課題を用いて実験を行った。その結果、盲児では課題遂行時間や、円柱の着地位置のずれや傾きの回数などにおいて重さ要因の効果が認められた。以上のことから、盲児の課題学習においては、教材に一定の重さがあることの重要性が示唆された。この背景には、円柱が重い条件のほうが①操作がしやすい、②穴の位置を定位しやすく自分の体の動きを調整しやすい、③円柱の向きを合わせやすい、④円柱が入ったことがわかりやすいことが考えられる。
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© 2015 日本特殊教育学会
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