特殊教育学研究
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実践研究
特別支援学校における不登校生徒に対するチーム主導型問題解決に基づく事例検討システムの効果
田中 善大
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2021 年 59 巻 3 号 p. 203-216

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抄録

特別支援学校中学部における不登校生徒に対する支援体制として、学校規模ポジティブ行動支援のチーム主導型問題解決(TIPS)に基づく事例検討システムを開発し、効果を検討した。ポジティブ行動支援に基づく支援の立案を促進するために、事例検討プロセスに、TIPSに加えて適切行動の共有のプロセスを導入した。システムの効果は、対象生徒の登校状況、事例検討シートの内容、教員への質問紙調査のデータを分析し、検討した。その結果、事例検討の中で立案した支援の多くが実施され、設定した目標の多くが達成され、対象生徒の登校状況も5名中3名で改善がみられた。システムは翌年度も継続され、改善がみられた3名の登校率は翌年度さらに増加した。加えて、多くの教員が事例検討システムを肯定的に評価していた。結果から、本研究で開発した事例検討システムが特別支援学校における不登校生徒に対する支援体制として有効なものであることが示された。

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© 2021 日本特殊教育学会
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