抄録
本研究では、発達上の課題や困難を有する非行少年との面接経験がある保護司8名に対して半構造化面接による調査を行い、保護司の困難感と活動に関するニーズを把握し、少年に対して適切な指導や援助を行うための課題について検討した。結果の分析にはKJ法を用い、面接の音声データを逐語録にして内容ごとに分類した。その結果、保護司の困難感やニーズは121ラベル、9つのカテゴリーに分類され、保護司の困難感として、少年の態度、コミュニケーション、面接設定の困難が挙げられた。保護司のニーズについては、発達障害についての研修、保護観察官からのサポートと連携、再犯防止にかかわる周囲の人間関係の重要性が示された。保護司が発達障害等の発達上の困難を有する少年に対して抱く困難感を軽減するための研修や地域連携の必要性について考察した。