2018 年 95 巻 p. 29-36
本論は,減災に向けた災害図上訓練(DIG)の施設内教育研修の効果を検討したものである。国内外での災害の頻発により今後,さまざまな災害に対応できる医療従事者の育成が重要な課題になってくる。A病院ではDIGを施設内研修として4 年間行い,昨年度は,地域近隣病院に出向いたDIGも行った。病院の規模・職員の知識レベルに関係ないDIGの有効性の検証を目的に,過去4 年間に行ったアンケートを分析した。地域近隣病院に出向いたDIGは1 回であるが,そのアンケートを分析した。その結果,DIGは,災害発生時の初期対応の行動が明確化され,病院や部署の 特徴に合わせたイメージ化ができ,アクティブ・ラーニングとして知識・技術が獲得しやすい効果があることが示唆 された。医療従事者には災害を想定した事前準備が重要であり,減災に向けたDIGを継続して行っていく必要がある と考える。