2018 年 96 巻 p. 117-122
【背景】身体活動(運動と生活活動)は生活習慣病を予防し,健康を維持・増進する効果があるため,広く推奨されてきた。また,厚生労働省からは健康づくりのために,運動強度(METs)や量(Ex)の基準が示されて来た。そこで,身体活動量の指標であるMETsを,筋肉形成のための指標にも活用できれば,さらに活用用途が増えることが予想される。 【目的】超高感度成長ホルモン測定法を用いて,運動負荷強度や運動内容による成長ホルモンの分泌動態の変化について検討する。 【対象と方法】本学在籍の健常な学生7 名に対し,運動強度(METs)の異なる運動を実施した。運動前後の血中及び尿中成長ホルモン濃度は高感度成長ホルモン測定法を用い測定した。 【結果】成長ホルモンは運動強度(METs)が高い方が多く分泌される傾向があることがわかった。また,筋肉に対して刺激のある運動がより多くの成長ホルモンを分泌していた。これらのことより,METsを指標とした運動の選択により,筋肉形成のために重要な成長ホルモン分泌を増やせる可能性が示された。