糖尿病
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原著
糖尿病一次予防の対象者と医療費軽減の可能性
―経年的成績と医療費からの推計―
日高 秀樹辻中 克昌山〓 義光
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2005 年 48 巻 12 号 p. 841-847

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抄録
職域の健診成績と診療報酬請求書より算出した医療費から, 糖尿病一次予防の対象と医療費軽減の可能性を推定した. 1992年度に健診を受けた40~60歳男性で2000年度までにFPG 126mg/dl 以上 (DM域) を示した対象は1992年度FPG 100mg/dl 以上の群より増加し, 7~8年後の医療費も増加した. FPG 100~125のハイリスク1,242例から, 1996, 1997年度にDM域は21%出現し, この群の1999~2000年度の平均医療費は41±5.8万円とFPG不変・改善群より約10万円高額だった. ハイリスク群に介入し25%有効な場合, 3, 4年後に減少する医療費は年間1名当たり約3千円と推計された. FPG 100未満の低リスク群では, 4, 5年後のDM域は1.5%であり, 減少医療費は440円と推定された. より長期の効果については今後の検討が必要である. 短期的な直接医療費から一次予防に利用可能な費用はハイリスク者でも少なく, 糖尿病一次予防は費用対効果の優れたものが必要と考えられる.
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© 2005 一般社団法人 日本糖尿病学会
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