2005 年 48 巻 5 号 p. 331-335
症例は48歳女性, 月経は規則的. 1989年に高脂血症を, 2000年に糖尿病を指摘された. 2003年3月, 総コレステロール421 mg/dl, 中性脂肪2,733 mg/dl と著しい脂質代謝異常, リポ蛋白電気泳動におけるbroadβパターンおよびアポE2/E2フェノタイプが認められ, 家族性III型高脂血症と診断された. また, リポ蛋白リパーゼ (LPL) 蛋白量低下を伴うことから, LPL欠損症ヘテロ結合体の可能性も示唆された. 経過中カイロミクロン血症が認められている. 冠動脈造影検査では#3に99%の狭窄所見が認められた.
インスリン抵抗性の増大により閉経前に発症し, 冠動脈狭窄を来したと考えられる家族性III型高脂血症合併2型糖尿病例を経験した. 本症例ではLDL受容体に対する親和性低下によるレムナント増加に加え, LPL作用不足によるTG加水分解障害も存在すると考えられ, 脂質代謝異常の重篤化, 難治化に寄与したと考える.