症例は57歳, 男性. 2002年1月25日より39度の発熱, 口渇, 多飲, 多尿, 全身〓怠感が出現した. 1月31日には吐血が出現し緊急入院となった. 随時血糖値697 mg/d
l, pH 7.12, HbA
1c 6.0%, 膵酵素の上昇 (エラスターゼI2,610 ng/d
l, 膵ホスホリパーゼA2 1,390 ng/d
l ), 尿中CPR感度以下, 抗GAD抗体陰性で劇症1型糖尿病によるケトアシドーシスと診断し, インスリン治療を開始した. 上部消化管内視鏡にて食道から胃, 十二指腸にかけて広範囲全周性の出血を伴う粘膜びらんを認めたため, 栄養管理は中心静脈栄養としH
2受容体拮抗薬の投与を開始した. 劇症1型糖尿病に消化器症状の頻度が高いことは知られているが, 本症例は吐血という重篤な症状が受診動機となり, 内視鏡所見などより成因論的にも興味深い症例と考え報告する.
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