糖尿病
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48 巻, 5 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
原著
  • 神田 加壽子, 岡田 洋右, 森田 恵美子, 杉本 英克, 田中 良哉
    2005 年 48 巻 5 号 p. 309-315
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    糖尿病患者の生活習慣や就労の実態を明らかにし, 就労中の糖尿病患者における療養上の問題点について検討する目的で, 外来通院中の糖尿病患者698名に対し, 生活習慣, 就業状況等についてのアンケートを実施し解析した. その結果, (1) 就労者317名のHbA1c 7.2±1.7%は, 非就労者381名のHbA1c 6.7±1.2%より有意に高かった. (2) 就労者のほうが飲酒率, 喫煙率共に高く, 定期的な運動療法の実施率が低かった. (3) 就労者の22.8%が勤務時間中の服薬や注射を必要としていたが, そのうち26.4%が時々実施できないことがあると回答した. 以上より, 本研究では非就労者に比べ就労者では血糖コントロールが不良であり, 勤務時間中の服薬やインスリン注射を必要とする者では, そうでない者に比べて有意に血糖コントロールが不良であった. したがって, 就労者の薬物療法にあたっては勤務時間, 環境についても十分考慮して治療法を選択すべきである.
  • 永井 聡, 谷口 聡, 梅津 正明, 三島 慎也, 瀬川 竜二郎, 田原 たづ, 坂井 恵子, 西尾 太郎, 渥美 敏也, 清水 力, 〓岡 ...
    2005 年 48 巻 5 号 p. 317-323
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    【背景】先端巨大症の薬物療法として酢酸オクトレオチドが頻用されている. 90%以上の症例でGHが低下するため, 耐糖能の改善も期待されるが, 実際にはインスリン分泌抑制作用により耐糖能の悪化する症例も散見する. 【目的】酢酸オクトレオチド投与による耐糖能の変化を検討する. 【対象と方法】当科通院中の酢酸オクトレオチド投与中の先端巨大症患者13例において, 酢酸オクトレオチド投与前後のGH, IGF-I, HbA1c, HOMA指数, 75 gOGTT施行時のAUC glucose, AUC IRIの変化を検討した. 【結果】酢酸オクトレオチド投与によりGH, IGF-Iは有意に低下した (p<0.01). HbA1cは投与前に糖尿病であった群で有意に上昇した (p<0.05). また, HOMA-Sは有意差を認めなかったが, HOMA-βは投与後有意に低下した (p<0.05). 【結語】糖尿病合併先端巨大症患者では, 酢酸オクトレオチドの投与の際に耐糖能の悪化に注意すべきである.
症例報告
  • 藤田 義人, 福島 光夫, 藤本 新平, 長嶋 一昭, 濱崎 暁洋, 安田 浩一朗, 徳光 誠司, 綱島 武彦, 細川 雅也, 山田 祐一郎 ...
    2005 年 48 巻 5 号 p. 325-330
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    症例は57歳, 男性. 2002年1月25日より39度の発熱, 口渇, 多飲, 多尿, 全身〓怠感が出現した. 1月31日には吐血が出現し緊急入院となった. 随時血糖値697 mg/dl, pH 7.12, HbA1c 6.0%, 膵酵素の上昇 (エラスターゼI2,610 ng/dl, 膵ホスホリパーゼA2 1,390 ng/dl ), 尿中CPR感度以下, 抗GAD抗体陰性で劇症1型糖尿病によるケトアシドーシスと診断し, インスリン治療を開始した. 上部消化管内視鏡にて食道から胃, 十二指腸にかけて広範囲全周性の出血を伴う粘膜びらんを認めたため, 栄養管理は中心静脈栄養としH2受容体拮抗薬の投与を開始した. 劇症1型糖尿病に消化器症状の頻度が高いことは知られているが, 本症例は吐血という重篤な症状が受診動機となり, 内視鏡所見などより成因論的にも興味深い症例と考え報告する.
  • 三輪 一真, 羽賀 達也, 中村 二郎
    2005 年 48 巻 5 号 p. 331-335
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    症例は48歳女性, 月経は規則的. 1989年に高脂血症を, 2000年に糖尿病を指摘された. 2003年3月, 総コレステロール421 mg/dl, 中性脂肪2,733 mg/dl と著しい脂質代謝異常, リポ蛋白電気泳動におけるbroadβパターンおよびアポE2/E2フェノタイプが認められ, 家族性III型高脂血症と診断された. また, リポ蛋白リパーゼ (LPL) 蛋白量低下を伴うことから, LPL欠損症ヘテロ結合体の可能性も示唆された. 経過中カイロミクロン血症が認められている. 冠動脈造影検査では#3に99%の狭窄所見が認められた.
    インスリン抵抗性の増大により閉経前に発症し, 冠動脈狭窄を来したと考えられる家族性III型高脂血症合併2型糖尿病例を経験した. 本症例ではLDL受容体に対する親和性低下によるレムナント増加に加え, LPL作用不足によるTG加水分解障害も存在すると考えられ, 脂質代謝異常の重篤化, 難治化に寄与したと考える.
  • 小林 啓二, 佐藤 浩一, 大竹 明, 新美 仁男, 佐々木 望
    2005 年 48 巻 5 号 p. 337-339
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    症例は10カ月の男児. 意識障害のため入院した. 入院時血糖値は1,102 mg/dl, 静脈血ガス分析で, pH 6.962, 血中ケトン体は著明高値であり, 糖尿病性ケトアシドーシスであった. しかし, HbA1cは5.7%と正常範囲で劇症1型糖尿病様の病像を呈していた. 急性期の治療後インスリン4回皮下注射に移行し, 現在は超速効型インスリンの食後投与を行っている. 稀な乳児1型糖尿病のなかでも極めて特異な経過を呈し, 貴重な症例と考えられた.
  • 谷口 晋, 生山 祥一郎, 安田 幹彦, 森 正樹, 西村 純二
    2005 年 48 巻 5 号 p. 341-346
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    症例1は48歳, 男性. 急性〓桃炎罹患後, 顎下部の腫脹・疼痛・熱感が出現. CTにて顎下部にガスを多量に含む顎下隙膿瘍を認め, 切開排膿後ドレナージ, 抗菌薬にて治癒した. Prevotella 属, Streptococcus milleri 属を検出した. 症例2は75歳, 女性. 関節リウマチ (RA) の増悪を疑われて入院後, 突然ショック状態となり, 上腹部の筋性防御と肝胆道系酵素の上昇を認めた. CTにて肝左葉に大量のガスが貯留する肝膿瘍を認め, ドレナージ, 抗菌薬にて治癒した. Klebsiella pneumoniae, Enterococcus raffinosus を検出した. 症例3は45歳, 女性. RAの経過中に両下腿後面の疼痛・熱感・緊満感を訴えた. MRIにて両側腓腹筋部皮下にガスを混在した蜂窩織炎を認め, 抗菌薬にて治癒した. これら3症例は糖尿病患者に発症したガス産生性感染症で, 非Clostridium 属が起因菌となることが多いことがあらためて示唆された.
コメディカルコーナー・原著
  • 遠藤 敏彦, 畑 章一, 山〓 博之
    2005 年 48 巻 5 号 p. 347-353
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    糖尿病患者の血糖コントロールに血糖自己測定が有用であることは周知の事実であり, 現在, 20種を超える血糖自己測定機器が発売されている. そのうち, 8機種を用いて基礎的検討 (再現性試験, ブドウ糖添加試験) を行うとともに, 血液量や他の糖類・還元性物質が測定値異常の原因となりうるか検討した. その結果, 再現性やブドウ糖添加試験は, 機種により差異があることが確認された. さらに, 血液量不足や他の糖類・還元性物質により, 測定値異常を示す機種があることが確認された. これらの結果を踏まえ, 糖尿病療養指導士は, 血糖自己測定器の操作方法や性能を熟知した上で, 適切な自己血糖測定の指導を行う必要があると考えられた.
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