2005 年 48 巻 6 号 p. 429-434
38歳, 女性. 妊娠30週4日に子宮内胎児死亡を伴う劇症1型糖尿病の症例を経験した. 入院時PG 529 mg/dl, HbA1c 6.4%, 尿中CPR 0.4 μg/day, GAD-Ab (-), ICA (-) であった. インスリン強化療法により血糖コントロールを図り退院したが暁現象のため血糖値は不安定であった. 2回目の妊娠時は血糖コントロール不良にて人工妊娠中絶を選択し, その後CSIIを導入した. Insulin Lisproによるpreprogramming型インスリンポンプにより管理し, HbA1c 6%前後で安定した. 特に暁現象の著明な改善を認め, 夜間低血糖もほとんどみられなくなった. 3回目の妊娠は, 妊娠39週で正常分娩であった. 劇症1型糖尿病では早期からの膵β細胞機能廃絶により血糖コントロールに難渋する例が多いが, 適応のある症例にはCSIIは有用であると考えられた.