糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
症例報告
発症初期に頻回の低血糖を伴った急性発症1型糖尿病の1例
相澤 茂幸岡本 新悟Mohammed Selim Reza池中 康英榑松 由佳子森本 有加里小島 邦行加藤 佐紀福井 博
著者情報
キーワード: 1型糖尿病, 低血糖, 発症初期
ジャーナル フリー

2006 年 49 巻 10 号 p. 791-795

詳細
抄録
症例は35歳の女性.繰り返す低血糖の精査のために入院した.75 g経口ブドウ糖負荷試験(75 g OGTT)直後から高血糖に移行し,インスリン治療を開始することになった.低血糖時の血中インスリンは高値であり,一方高血糖に移行した後の尿中C-ペプチドは著明低値であった.インスリンの頻回注射でも患者の血糖コントロールは困難でbrittle型を呈している.発症が急激であり,膵ラ氏島関連自己抗体が陰性であったことから劇症1型糖尿病が疑われた.しかし膵外分泌酵素の上昇は全く認めず,また病歴から発症前の耐糖能異常があった可能性も考えられた.明らかな診断に至らなかったものの,低血糖の精査入院中,糖負荷試験を契機に1日で高血糖に移行するという劇的な経過を観察し,劇症1型糖尿病(以降劇症1型)の亜型とも捉えられる貴重な症例と考え報告する.
著者関連情報
© 2006 一般社団法人 日本糖尿病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top