糖尿病
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特集 糖尿病患者における移植・再生医療の現状と展望
2. 膵島移植
松本 慎一
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2006 年 49 巻 12 号 p. 899-901

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抄録

膵島移植とは,提供された膵臓から特殊な技術を用い膵島を分離し,肝臓の門脈内に移植する新しい糖尿病治療法である.局所麻酔下にて点滴の要領で行うことができるため,低侵襲で安全性が高い.移植された膵島は,通常長期に機能を維持し血糖値の安定化および低血糖発作の激減が得られる.このように,高い安全性と効果のために近年世界的に広がってきた.わが国では著者のグループが,2004年に初めて臨床膵島移植を実施し,2005年に世界に先駆けて生体ドナー膵島移植を成功させた.膵島移植の課題として,長期のインスリン離脱率向上,ドナー不足解消,免疫抑制療法の改善および免疫寛容の達成があり,さらなる研究が重要である.ただし,膵島移植は安全性と効果の高い治療であり,課題が解決されていくにつれて,インスリン依存状態糖尿病に限らず広くインスリン分泌が低下した糖尿病の治療として普及するであろう.

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© 2006 一般社団法人 日本糖尿病学会
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