糖尿病
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症例報告
著明な高血糖,ケトアシドーシスにて発症し,遷延する貧血,急性腎不全を合併した劇症1型糖尿病の1例
城 聡一米本 俊良
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2006 年 49 巻 12 号 p. 929-933

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抄録
症例は42歳男性.2003年8月下旬より発熱,咽頭痛を認め,全身倦怠感,口渇,多飲,多尿が出現し9月5日昏睡状態となり救急搬送された.血糖値2,766 mg/dl,HbA1C 7.1%, 血中ケトン体2,500 μmol/l以上と高値を認め,pH 7.105,HCO3 8.4 mmol/lと著明な代謝性アシドーシスおよび横紋筋融解と貧血,急性腎不全を認めた.入院3日前のHbA1C 4.4%, 尿中CPR感度以下,抗GAD抗体,インスリン抗体陰性であり劇症1型糖尿病と診断した.Hb 10.9 g/dlと貧血を認め,原因として上部消化管病変による出血が考えられた.また,輸液により一度軽快した急性腎不全が再び悪化し一時血液透析を必要とした.感染の持続によりエリスロポエチンの反応が低下し,貧血の遷延化に影響した可能性が考えられた.著明な高血糖にもかかわらず貧血を合併したこと,また,その原因となる消化管病変と劇症1型糖尿病発症との関連を考える上で意味のある症例と考え報告する.
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© 2006 一般社団法人 日本糖尿病学会
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