糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
原著
糖尿病ケトアシドーシスにおける混合性酸・塩基平衡障害
棚橋 弘成安田 圭吾林 慎橋本 健一杉山 千世朝川 英範石原 慎一郎吉田 健一郎佐野 明江赤井 昭文伊藤 康文村井 敏博山北 宜由猿井 宏武田 則之
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 49 巻 4 号 p. 259-265

詳細
抄録
本邦での糖尿病ケトアシドーシス(DKA)における混合性酸・塩基障害(mixed acid-base disorder, MABD)の実態は不明である.自験18例,21回の入院におけるMABDに関し検討した.DKAに合併している代謝性酸・塩基障害の診断には,(1)補正HCO3-: <22 mEq/lまたは>26 mEq/l, (2) Δanion gap (AG)/ΔHCO3-: <0.8または>1.2, (3) (AG-10)/ΔHCO3-: <1.0または>1.6, の3基準,呼吸性酸・塩基障害の診断には,(4) pCO2=1.5×HCO3-+8±2以上,(5) ΔHCO3-x(1~1.3)以上の増,減,の2基準を用い,各3および2基準のすべてを満たす場合酸・塩基障害が共存していると診断.21例中単純ケトアシドーシス9例43%, MABD12例57%であった.MABDの内訳は代謝性アルカローシス(alk)6例,呼吸性alk3例,triple acid-base disorder 3例であった.本邦DKAにおいてもMABDは稀ではなく,DKA診療に際しては酸・塩基平衡異常の病態解析が重要である.
著者関連情報
© 2006 一般社団法人 日本糖尿病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top