糖尿病
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症例報告
脳炎症状の改善とともに急激な内因性インスリン分泌改善が認められ,1型か,2型かの判断が困難であった糖尿病の1例
宮内 俊一京楽 格野間 健之上野 浩晶塩見 一剛水田 雅也中里 雅光
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2006 年 49 巻 6 号 p. 435-439

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抄録
症例は63歳男性.これまで糖尿病を指摘されたことはなかったが,2004年5月中旬より異常行動がみられるようになり近医に入院.随時血糖317 mg/dl, HbA1C 13.5%. 入院後にけいれん発作が出現するようになり脳炎を疑われて,5月21日当科を紹介され入院した.入院直後の随時血糖は300 mg/dl以上,尿中C-ペプチドは5.1~21.9 μg/日,抗GAD抗体1.7 U/mlを示し,インスリン治療を開始した.ウイルス性脳炎と診断し,抗ウイルス薬,γ-グロブリン投与およびステロイドパルス療法を行った.その後中枢神経症状の改善とともにインスリン必要量が減少し,6月24日には完全にインスリンを離脱し,尿中C-ペプチドは233~262 μg/日と著明な改善がみられた.退院時には抗GAD抗体は0.3 U/ml未満まで低下した.短期間に著明な内因性インスリン分泌の改善が得られた興味深い症例であり,文献的考察を加えた.
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© 2006 一般社団法人 日本糖尿病学会
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