抄録
糖尿病急増に対する予防の効率的な一方策として考えられる.血縁者への発症予防活動に関する認識・経験を整理し,具体的方策への示唆を得ることを目的として,糖尿病医療専門職19名を対象に面接調査を行った.多くの対象者は,患者とその家族が糖尿病の遺伝に関する知識を十分には持っていないと感じており,また血縁者へのケアの提供は必要であると考えていた.しかし,心理的問題,知識の不足,および時間的・人的な体制の不備が,実際のケアに取り入れる上での障害となっていた.
具体的方策としては,患者とその家族が正しくリスク認知をし,適度な運動,適切な食事といった好ましいライフスタイルへと行動を変容させて環境要因をコントロールできるようになるということを目標に,糖尿病,特に遺伝要因ならびに環境要因の相互作用に関しての教育・知識の普及を図ることが重要である,と対象者の意見は要約された.