2007 年 50 巻 12 号 p. 849-852
症例は31歳女性,2型糖尿病と診断を受けるも放置し感染を契機に糖尿病性ケトアシドーシス(以下DKA)を発症.入院時著明な血清強乳糜を示し,ほとんどの生化学検査が測定不可能のなか,血清コレステロール(以下TC)1,260 mg/dl, 血清中性脂肪(以下TG)15,120 mg/dlと著明な高脂血症を合併し,網膜脂血症も認めるdiabetic lipemiaの状態であった.入院後インスリン補充と輸液療法にてDKAに対して治療を行うとともに,高脂血症に対してフィブラート系薬剤を併用したところ速やかにTGは改善し,急性膵炎や虚血性心疾患など致死的合併症が生じることなく退院となった.通常1型糖尿病患者に合併するdiabetic lipemiaを内因性インスリン分泌能が確認されている2型糖尿病のDKAで経験した貴重な症例と考えられた.