糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
症例報告
膵腫大をきたし急性膵炎として入院中に発症した劇症1型糖尿病の1例
石塚 伸子藤本 新平松岡 啓子福田 一仁村口 尚子稲垣 暢也
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 50 巻 12 号 p. 853-858

詳細
抄録
症例は55歳男性,2005年5月31日アルコール飲酒後,腹痛,発熱を認め,6月1日近医を受診した.血清アミラーゼ1,071 IU/l(正常値40-125 IU/l)と高値で,腹部CTで軽度膵腫大を認め,急性膵炎と診断され入院となった.内科的治療で,解熱し腹痛も改善していたが,6月6日,糖尿病ケトアシドーシスを発症し,インスリン治療を開始し改善した.6月10日の腹部CTでは,膵腫大は改善していた.尿中CPRは,<0.1 μg/日,グルカゴン負荷試験の血中CPR値は前値,6分値とも<0.1 ng/ml, ヘモグロビンA1cは7.3%であり,抗GAD抗体,抗IA2抗体は陰性であった.膵腫大も一過性で膵外分泌酵素正常化後にケトアシドーシスを発症したことから,急性膵炎による糖尿病は考えにくく,短期間でインスリン分泌が枯渇した点で劇症1型糖尿病と診断した.劇症1型糖尿病の発症前に膵腫大を観察した報告は少なく,文献的考察を加え報告する.
著者関連情報
© 2007 一般社団法人 日本糖尿病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top