抄録
症例は62歳,男性.46歳時に糖尿病を指摘され,57歳より経口血糖降下薬を内服していたがコントロール不良のため,ヒトインスリン混合型製剤による治療が開始された.初回注射時より注射部位に発赤・腫脹を認め,また,消化器症状も出現し,症状が持続したため当院を紹介受診.皮内テスト・皮膚生検により,ヒトインスリンに対する即時型アレルギーを確認した.製剤をインスリンアナログ製剤に変更したところアレルギー症状は軽快し,インスリン治療継続可能となり血糖コントロールは改善.また,インスリン抗体,抗ヒトインスリン特異的IgE抗体の低下をみた.インスリンのアミノ酸配列のわずかな差異がインスリンアレルギーの発症,生体の免疫反応に関与する可能性があると考えられた.