抄録
若年発症糖尿病患者の足病変の実態を明らかにするために,30歳以下で糖尿病と診断され足病変を併発した患者39名〔1型11名(以下1型群),2型28名(以下2型群)〕の臨床的背景を調査した.足病変発症までの平均糖尿病罹病期間は1型群22.2年,2型群20.0年で差はなかったが,2型群の25.9%は糖尿病診断から10年以内に足病変を発症していた.1型群の全例に糖尿病神経障害および糖尿病網膜症を認め,糖尿病腎症第5期は72.7%に認めた.2型群も全例に神経障害を認め96.4%に網膜症を認めたが,腎症第5期の割合は32.1%であった.また,2型群の67.9%に糖尿病治療中断歴を認めた.
まとめると,1型糖尿病では進行した他の合併症を伴う症例が多かった.一方,2型糖尿病では足病変発症までの糖尿病罹病期間の分布は広く,さらに糖尿病治療中断歴を有する症例が多かった.このように足病変を有する若年発症の糖尿病において糖尿病の病型により臨床的特徴が異なることを明らかにした.