2008 年 51 巻 1 号 p. 19-25
症例は63歳,女性.55歳時に糖尿病と診断され,経口血糖降下薬の内服でHbA1c 8%台で経過していた.2004年2月27日,左季肋部痛,左背部痛を自覚し,当科を受診し,重症急性膵炎と診断され,入院した.血糖値が高値であったため速効型インスリンの持続静注を開始されたが,血糖値を150 mg/dl以下に維持するために最大217単位/日の速効型インスリンが必要であった.急性膵炎の改善に伴いインスリン必要量は漸減し,経口血糖降下薬の内服で血糖コントロールが可能となり退院した.高血糖は急性膵炎を重症化する危険因子であり,急性膵炎の治療において血糖値を正常に保つことは重症急性膵炎の致命率を改善するうえで重要である.