糖尿病
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症例報告
耐糖能異常を認めるにもかかわらず,低血糖昏睡を来した高齢者甲状腺機能亢進症の1例
織田 展成
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2008 年 51 巻 12 号 p. 1081-1085

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抄録

症例は76歳,女性.2007(平成19)年1月末頃より全身倦怠感,体重減少,歩行困難を認め,近医を受診.精査目的に当科を紹介受診.びまん性甲状腺腫とTSH 0.01 μIU/ml, F-T3 9.22 pg/ml, F-T4 3.58 ng/dlを認め,入院を勧められるも拒否.その後,全身浮腫,食欲低下を認め,4月28日当科再診.心房細動による頻脈性心不全を認め,精査加療目的に入院.甲状線エコー,甲状腺自己抗体,甲状腺シンチグラフィーにてバセドウ病と診断し,抗甲状腺薬,β遮断薬,利尿剤の投与を開始した.同日,深夜に昏睡状態となり,血糖値7 mg/dlであり低血糖昏睡と診断し,ブドウ糖投与にて意識は改善し,高カロリー輸液を行ったところ,以後,低血糖は認めなかった.また,75gブドウ糖負荷試験では糖尿病型を示し,各種ホルモン検査では副腎不全は否定的であり,甲状腺機能亢進症,心不全による食欲低下から,低栄養状態により低血糖昏睡を来したと考えられた.

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© 2008 一般社団法人 日本糖尿病学会
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