糖尿病
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原著
2型糖尿病薬物治療における低用量グリクラジドの有用性
—速効型インスリン分泌促進薬あるいは他のSU薬からの切り替え症例による検討—
下田 将司早川 尚雅辰巳 文則俵本 和仁重藤 誠菅田 有紀子川崎 史子柱本 満松木 道裕加来 浩平
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2008 年 51 巻 3 号 p. 221-225

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抄録
速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬群)またはグリクラジド以外のSU薬(SU薬群)で治療中の2型糖尿病患者で,血糖コントロール不良もしくは低血糖症状発現を理由に,低用量グリクラジド(一日用量40 mg以下)に切り替えられ,12カ月経過を追えた症例について検討した.グリニド薬群13例とSU薬群14例の各々の平均年齢は65.6, 67.1歳,平均BMIは24.3, 23.4 kg/m2, 平均糖尿病罹病期間は11.0, 18.1年であった.グリニド薬群におけるHbA1c値の変化は,切り替え時8.5±0.5%から6カ月後6.9±0.5%, 12カ月後7.0±0.4%と有意に低下した(p<0.005)が,体重に有意な変化はなかった.SU薬群におけるHbA1c値は,切り替え時7.6±0.5%から6カ月後6.9±0.4% (p<0.05), 12カ月後7.1±0.4% (p=0.141)と切り替え時に比し低下傾向を認め,体重は59.6±5.8 kgから6カ月後は58.5±5.3 kg, 12カ月後58.5±5.5 kgと有意な低下(p<0.05)を示した.両群ともに観察期間中に低血糖を認めなかった.低用量グリクラジドに変更することにより,体重の増加を認めず,血糖コントロールの有意な改善を認めた.以上,低用量グリクラジドの有用性が示唆された.
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© 2008 一般社団法人 日本糖尿病学会
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