糖尿病
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症例報告
酵母菌由来インスリンおよびインスリンアナログ製剤治療開始後に肝障害をきたした2型糖尿病の1例
伊坂 正明松田 ひとみ山田 信博
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キーワード: インスリン, 肝障害
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2008 年 51 巻 4 号 p. 319-322

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抄録

症例は46歳女性,43歳時に糖尿病と診断され経口糖尿病薬を開始された.その後,自己判断で治療中断した.46歳時に糖尿病ケトーシスと診断され,当院入院となった.ペンフィル®R注とペンフィル®N注による治療を開始したところ,肝障害が出現した.インスリンアナログ製剤のノボラピッド®注とランタス注オプチクリック®に変更したところ,肝機能はさらに悪化した.このためグリベンクラミドの内服療法に変更した.この結果,肝機能は改善した.しかし,血糖コントロールは不良となったため,大腸菌由来インスリン製剤であるヒューマカート®R注とヒューマカート®N注による治療に切り替えて治療を行った.その後は,血糖値は良好にコントロールされ,肝機能の悪化も認められなかった.薬剤によるリンパ球刺激試験(DLST)では,酵母菌由来インスリンおよびインスリンアナログ製剤で陽性,大腸菌由来インスリンおよびインスリンアナログ製剤では陰性であった.以上より,酵母菌由来の製剤が肝障害の原因であると診断した.

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© 2008 一般社団法人 日本糖尿病学会
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